レコメンド のそもそもについてと商品相関


レコメンド についての誤解

レコメンド というECにおける機能はかなり一般的になってきていると思いますが、一方でそのそもそもの目的や役割を誤解している人が多いのが実情です。

誤解しているというより、役割としての レコメンド と機能としての レコメンド を混同しているというほうが正しいでしょうか。

 レコメンド とは

役割としての レコメンド は端的に言えばオススメです。

ただ考えてみてほしいところですが、ECにおける商品の表示は本来全部オススメなのです。

なので「ECに(オススメと言う意味の) レコメンド を実装したい」といっても、「そんなの全部そうです」という感じになってしまいます。

ですので正確なところとしては、「ECの商品オススメのうち、機能として レコメンド と呼ばれるものを実装したい」というようなニュアンスになります。

さてそうすると、「機能として レコメンド と呼ばれるものってなに?」ということになるわけです。

レコメンド の意味と機械学習・集合知の関係

レコメンド =オススメのはずなのですがそうならないのは、 レコメンド のほうが狭義というか範囲が狭いためです。

 レコメンド とオススメの関係

ストレートに言うなら、機械学習・集合知を使うものが レコメンド という感じです。

100%正確ではないですがまあそう思っておけばそんなに間違いではありません。

逆に集合知を使わないものでも、 レコメンド ではないけどオススメではありえます。

具体例を見ていくほうがわかりやすいですね。

典型的な レコメンド は、いわゆるAmazon レコメンド です。

Aを買っている人はBも買っているというやつです。

専門的な用語(?)を使うと、相関と呼ばれるものになります。

逆に レコメンド ではない典型的なオススメは「セール」です。

特価というのは重要な購買の理由の一つなのは間違いありません。

別の言い方をすれば、パーソナライズされているのが レコメンド 、でもだいたい正解です。

ただ上客向けセールはパーソナライズされていなくもないので、100%正解ではないですが。

さてAmazon レコメンド を始めとする レコメンド の、基礎的な内容を解説してみます。

レコメンド の手法と活用するデータ

機械学習や集合知を使うためには、ユーザー(消費者)や商品のデータを使うことになりますが、パーソナライズということは商品よりもユーザーのデータのほうが重要ということになります。

典型的でかつ重要なデータは、もちろん購買履歴です。

特価よりは弱い気もしますが、パーソナライズのためには最強のデータの一つです。

ところで購買履歴を使った相関としては、ユーザー相関よりも商品相関のほうが有効な事が多いです。

AというユーザーとBというユーザーの相関よりも、Cという商品とDという商品の相関のほうが信憑性が高いということです。

ただこれをユーザーのデータではなく商品のデータとして考えるのは間違いです。

商品に紐づくユーザーのデータ、と考えればわかりやすいかもしれません。

Amazon レコメンド (商品相関)は大変有効なのですが、注意が必要なのは「商品ジャンルによってかなり差がある」ということです。

商品相関がもっとも有効なジャンルが、小説、漫画、映画などです。

 レコメンド が有効なジャンル

とある漫画を好きな人が好む別の漫画というのは、かなり似る傾向にあるというのは、容易にわかると思います。

そして「Amazonが当初扱っていた商品は本、音楽、映画がメインだった」のです。

つまりAmazon レコメンド という手法が先にあったわけではなく、Amazonは商品相関がかなり有効な商品を扱っていたために、それらにフィットした手法=Amazon レコメンド を実装した、と考えなければなりません。

ところがAmazon レコメンド はかなり衝撃的だったために、手法が先走りというか独り歩きしてしまった感があります。

レコメンド が手段ではなく、目的になってしまっているということですが、これはビジネスではありがちな間違いのパターンですね。

ちょっと考えれば、「 レコメンド を実装したい」ではなくて「扱っている商品は商品相関が有効なジャンルなので、それにフィットしたAmazon レコメンド を実装したい」でなければならないということです。

有効な レコメンド 手法とデータの組み合わせとは

もちろんAmazon レコメンド 以外にも有効な レコメンド の手法は多々あります。

ただ正直にいえば、ECにおいてはAmazon レコメンド が一番相性が良い商品ジャンルとの組み合わせがある、と思います。

その理由の一つが、ECで扱う商品にはさほどメタ情報がない、というものがあります。

例えば記事のオススメであればベイジアンフィルターは有効ですが、それは記事にはワードという膨大なメタ情報があるためです。

余談ですが当社は10年前にレコメンドエンジンを発表した際から、ベイジアンフィルターによるレコメンドロジックを搭載していました。

私の知る限り日本では初で、周りから「面白いけど使いみちはあるのか」と言われたものです。

当時は文献や実装例もないため、結構苦労した覚えがありますが、今ではベイジアンフィルターを始めとしたベイズ推定による レコメンド はポピュラーになってきたと言えるでしょう。

ただ、記事においてもワードを使ってベイジアンフィルターにかけるより、履歴で相関をかけるほうがうまくいくというか精度が高くなると思います。

でもそれだとニュースなどの場合、履歴がある程度つくまで レコメンド できないのでニュース記事として古くなってしまうという側面があるので、精度は落ちてもベイジアンフィルターのほうが良いという選択も十分にありえます。

まとめると、購買履歴というパーソナライズにとってはとても役に立つデータがあり、商品相関というそれをものすごくうまく活用できる手法があり、特に本や映画のような個人の趣味嗜好がでやすいジャンルでは最高にうまくいく、ということです。

そしてもちろん、10年前と違って今では、そうではないジャンルもかなりECで扱われるようになってきました。

ではどうしたらいいのか、については次回に続きます。

 

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【著者情報】
株式会社ゼロスタート
代表取締役社長 山崎 徳之

【連載紹介】
[gihyo.jp]人工知能で明日のビジネスは変わるのか?
[Biz/Zine]テクノロジービジネスの幻想とリアル
[ECZine]人工知能×ECことはじめ
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